本作の物語は、前作の結婚から十数年後、大都会ニューヨークの喧騒と子育ての現実に追われ、日常に幻滅(Disenchanted)しかけていたジゼルとロバート一家の姿から始まります。ジゼルは「おとぎ話のような暮らし」を取り戻すため、郊外の閑静な町モンロービルへの引越しを決意。しかし、引越し先は古びた未完成の洋館であり、思春期を迎えた愛娘モーガンとの溝は深まるばかりでした。
そんな中、アンダレーシア国王となったエドワードとナンシーが魔法の杖を携えて来訪します。モーガンとの口論で深く傷ついたジゼルは、杖を使って「家族全員が完璧なおとぎ話のような人生を送れますように」と願ってしまいます。翌朝、町はメルヘンチックな王国へと変貌し、住民たちも劇中キャラクターへと姿を変えていました。
ここで本作最大のツイストが発生します。なぜ心優しいジゼルが悪役に堕ちたのか。その理由は、おとぎ話の厳格な記号論にあります。ディズニーの古典的メルヘンにおいて「主人公(思春期の少女モーガン)の義理の母親」に割り振られる役割は、例外なく「邪悪な継母(ウィキッド・ステップマザー)」です。ジゼル自身の無意識の焦燥と魔法の呪縛が重なり、彼女の精神は次第に冷酷で高飛車なヴィランへと侵食されていきました。
物語後半、ジゼルは町の支配者である女王マルヴィナと激しい魔法バトル(ヴィラン同士の覇権争い)を繰り広げます。やがてアンダレーシアの魔法の源が吸い取られ、記憶と命が消え去るタイムリミット(真夜中の時計の鐘)が迫る中、ジゼルは完全に悪の心に飲み込まれそうになります。
驚きの結末ラストを救ったのは、王子様のキスではなく「母と娘の真実の愛」でした。モーガンはジゼルが作ってくれた思い出のアルバムと思い出の記憶を思い出し、魔法の杖を手に取ります。「真実のアンダレーシアの子供」であるジゼルと心を通わせたモーガンが正しい願いを唱えたことで魔法は解除され、町は元の現実世界へと修復。ジゼルは「完璧なおとぎ話」ではなく、「不完全でも愛おしい現実の家族関係」を受け入れるという感動的な結末を迎えます。