冬型塊根植物の代表格であるオトンナ・ユーフォルビオイデスを栽培する上で、最大の関門となるのが日本の酷暑です。栽培フォーラムや植物イベントの現場ヒアリングにおいて、脱落者の実に8割以上が「6月から8月の間に幹を腐らせてしまった」と証言しています。しかし、そのオトンナ・ユーフォルビオイデスが枯れる原因を単なる「暑さのせい」と片付けるのは早計です。
株を腐敗に至らしめる決定的なトリガーは、梅雨から盛夏にかけて鉢内に生じる「サウナ状態(高熱多湿)」と、旧来の園芸書が推奨してきた「夏季完全断水」の履き違えにあります。気温が28度を超えると本種は休眠期に入り、葉を落として生命活動を極限まで落とします。このとき、吸水能力が失われた土壌に水やりを行うと、鉢内の水分が日中の気温上昇とともに熱湯のような環境を作り出し、根茎の細胞を一気に破壊してしまうのです。
一方で、完全に水を切ったまま直射日光下の酷暑にさらすと、乾燥に耐えきれず内部の水分まで蒸散し、秋を迎える前に幹がスポンジ状にスカスカになって枯死します。つまり、「蒸れによる腐敗」と「過乾燥による根の完全死滅」という正反対の罠が、夏の管理には同時に潜んでいるのです。生還の鍵を握るオトンナ・ユーフォルビオイデスの夏越しの極意は、直射日光を避けた遮光率50%前後の涼しい風通しの良い日陰に配置し、2週間に1度、気温が最も下がる深夜に鉢の表土をサッと湿らせる程度の「夕涼み潅水(底面給水ではなく霧吹きや数ミリの微量給水)」を施して細根の湿度を微かに保つことにあります。