海坊主のイメージは、時代とともに大衆文化の中で再解釈され、現在も進化を続けています。その決定打となったのが、水木しげる氏の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』における海坊主の描写です。
ゲゲゲの鬼太郎の海坊主は、単なる怪物としてではなく、海の生態系や環境破壊に対する憤りを持つ強力な海の主として描かれました。原作や歴代アニメシリーズでは、巨大な体躯から繰り出される水流攻撃や、船を呑み込む圧倒的な力を見せる一方で、どこかユーモラスで愛嬌のある表情も併せ持ち、お茶の間における「海坊主=巨大で黒い頭の妖怪」というパブリックイメージを不動のものにしました。
さらに2000年代以降のネット社会では、海坊主の都市伝説最新系として「南極のニンゲン(ヒトガタ)」や、深海探査船のソナーが捉えた説明不能な超巨大影といった現代版怪異へと姿を変えています。海洋音響探査で観測される未知の低周波音(ブループ現象など)と海坊主の唸り声を結びつけるオカルト考察など、最先端技術が発達した時代であっても、深海という未知の領域に対する人間の想像力は衰えていません。