日本語の語源探求において、「おっぱい」という音の成立過程には複数の有力な学説が存在します。言語学者や民俗学者の研究資料によると、最も有力視されているのが江戸時代以前の古語や擬音・身体動作に由来するルートです。
有力な説の一つが、古語の動詞「おっぱう(押し含む、口に含ませる)」が転訛したという系統です。母親が乳児の口に乳首を含ませる動作「押し含ます」が短縮され、幼児が発音しやすい破裂音(パ行)へと変化した形跡が近世の風俗資料にも散見されます。また、乳を飲む際の擬音「パイパイ」に丁寧の接頭辞「お」が付与されて「おっぱい由来」の原型が形作られたとする説も根強く支持されています。
歴史的な幼児語の歴史をたどると、室町時代の女房言葉(宮中に仕える女性たちの隠語)や江戸期の育児記録において、乳を指す言葉は「おちち」「ちち」が主流でした。しかし、町人文化が開花した文化・文政期(1800年代初頭)以降、民間の育児空間でより親しみやすく柔らかな語感を持つ「おっぱい」「ぱいぱい」が急速に定着していった記録が残されています。
日本を代表する中型国語辞典『広辞苑』においても、本語は「乳(ちち)。また、乳房。多く幼児に対して、また幼児の用いる語」と明記されており、単なる俗語を超えた日本語の基礎語彙として公に認知されています。