心電図のR波増高不良とは?原因と放置の危険性・受診目安を徹底解説

心電図のR波増高不良とは?原因と放置の危険性・受診目安を徹底解説

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健診受診者が最も知りたいのは、「自らの心臓で何が起きているのか」という点に尽きます。心電図の判定基準において、この所見が導くシナリオは「重大な心疾患」と「治療不要な生理的変化」の二極に分かれます。

1. 重篤な疾患:前壁中隔心筋梗塞と伝導障害

臨床医が最も警戒するのが、前壁中隔心筋梗塞の疑いです。冠動脈の左前下行枝が閉塞し、心臓の前壁や心室中隔の筋肉が壊死すると、その領域の起電力が永久に失われます。電気を発生させなくなった壊死組織に向かう誘導ではR波が立ち上がらず、結果としてR波増高不良や異常Q波として記録されます。過去に強い胸痛を感じた記憶がない場合でも、痛みを自覚しない「無症候性心筋梗塞」が起きていた可能性が疑われます。

また、左室肥大と左脚ブロックも主要な要因です。高血圧などによって左心室の壁が異常に分厚くなると全体の電気軸が偏り、また心臓内の電気伝導路である左脚が途絶すると、電気の伝わり順序が根本から変わるため、V1〜V3で正常なR波が描出されなくなります。

2. 治療を要しない「正常変異」と物理的要因

一方で、東京都文京区の本郷真砂ハートクリニックが発信する臨床見解では、「健診でR波増高不良を指摘されても、精査の結果、器質的な異常が見つからないケースは極めて多い」と明言されています。これが「正常変異(良性のバリエーション)」です。

日本心臓財団への専門医回答でも示されている通り、長身で痩せ型の体型を持つ人は、心臓が胸腔内でぶら下がるように縦長に位置する「垂直位心」になりやすい傾向があります。この状態では、心電図の吸盤電極(導子)を標準的な肋骨の位置に装着しても、解剖学的な心臓の位置に対して相対的に高い場所を測定することになり、正常であってもR波が低く記録されてしまいます。さらに、検査技師の電極装着位置が肋間1つ分ずれただけでも波形は劇的に変化します。女性の場合は乳房の組織による電気抵抗の減衰も関与するため、波形単体だけで病気と決めつけることはできません。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。