着付け初心者の方が最初につまずきやすいのが、長襦袢に付ける「半衿」と着物に合わせる「重ね衿(伊達衿)」の役割や装着順序の混同です。まずは衿元の基本レイアウトと、美しい土台を作るための重ね衿折り方を整理します。
首元に近い最内側から外側に向かって、以下の順番で重なります。
- 半衿(はんえり):長襦袢(下着の上に着るインナー着物)の衿に縫い付ける布。首元の一番近くに見える。
- 重ね衿(伊達衿):着物(表着)の衿の内側に沿わせて重ねる装飾用の布。十二単の「襲(かさね)の色目」を簡略化したもの。
- 着物の本衿(ほんえり):着用する振袖、訪問着、小紋などのメインとなる表地の衿。
重ね衿は、本来何枚もの着物を重ね着していた平安時代の雅な風習を、1枚の細長い布で表現する知恵から生まれました。慶事において「おめでたいことが幾重にも重なりますように」という願いが込められた縁起物でもあります。
取り付ける前の下準備として、重ね衿を半分に折る作業があります。広幅(約11〜12cm)の重ね衿は、裏側を内側にして半分に山折りにし、中心に折り目をつけます。近年主流の「芯入りタイプ」や、すでにかがり縫いで半分に仕立てられている「バチ衿タイプ」の場合はそのまま使用できますが、芯が入っていない柔らかい正絹生地の場合は、アイロンで軽く折り目を落ち着かせておくと、着用時の衿ラインが驚くほどシャープに決まります。