陶芸作品の購入や鑑賞を検討する際、ネット上の断片的な情報によって多くの誤解が蔓延しています。失敗しない知識として知っておくべき決定的な盲点を整理します。
第一の誤解は、「テレビやネットで有名な作家の作品を買えば、将来必ず値上がりする」という投機的な幻想です。現代アート市場のバブルに伴い、陶芸作品を転売(リセール)目的で購入する投機筋が一部で見られますが、工芸品のセカンダリー市場はファインアートよりもはるかにシビアです。作家がメディア露出を失ったりブームが去ったりした場合、オークションでの買取価格が購入価格の10分の1以下に急落することは日常茶飯事です。「誰が作ったか」だけで購入を決める行為は、極めてハイリスクな選択と言わざるを得ません。
第二の誤解は、「人間国宝の作品は美術館に飾るものであり、一般人が日常使いするものではない」という思い込みです。確かに展覧会出品作の大壺や飾り皿は百万円単位であり、厳重な桐箱に納められて保管されるのが通例です。しかし、人間国宝の巨匠たちも、日々の生活を彩る「ぐい呑み」「湯呑み」「小鉢」などの小品を数多く制作しています。これらの作品は数万円から10万円台で入手可能なものも多く、一流の作家ほど「実際に酒を注ぎ、料理を盛り、手で触れてこそ器の命が宿る」と明言しています。生活の中で使ってこそ、釉薬の味わいが深まる「経年変化(器が育つこと)」を体感できます。