この楽曲を語る上で外せない最大の謎解きが、そのユニークなタイトルの構造です。楽曲タイトルの正式な読み方は「きみとひつじとあお」。一見すると童話のようなノスタルジーを感じさせる単語の並びですが、ここには鮮やかな漢字のパズルが隠されています。
漢字の成り立ちに注目すると、「君」と「羊」を組み合わせることで「群」という文字が完成します。ここに「青」を並べると、導き出される言葉は「群青(ぐんじょう)」です。楽曲のサビ前でも象徴的に《群青へと変わって行くよ》というフレーズが登場することから、タイトルそのものが「群青」の解体と再構築によって生まれた言葉遊びであることは間違いありません。
野田洋次郎はこれまでにも言葉のダブルミーニングや文字の分解を用いた作詞アプローチを数多く披露してきましたが、「君と羊と青」はその最高峰と評されています。青春の未熟さや衝動を連想させる「青」と、個と集団の狭間で揺れる人間像を連想させる「群」。単なるタイトルの奇抜さにとどまらず、楽曲のテーマそのものを視覚的・構造的に表現し切った秀逸なネーミングといえます。