ここまで恋愛脳の破壊的な側面を詳述してきましたが、ネット空間で蔓延している「恋愛脳=人間的未熟さの象徴」「絶対悪」という単純なレッテル貼りには、ジャーナリスティックな視点から異議を唱える必要があります。
本来、特定の対象に対して強烈な集中力を発揮し、深く感情移入できる性質は、人間関係を構築する上で極めて高い感受性と情熱の裏返しでもあります。パートナーの細かな表情や声のトーンから感情を察知する能力、他者のために自己を捧げられる献身性は、健全に発揮されれば深い信頼関係を築く強力なエンジンとなります。
問題なのは「情熱の総量」ではなく、「感情の行き先が1箇所に過集中し、分散されていないこと」です。投資の世界において資産を一極集中させれば暴落時に即座に破産するように、人間のメンタルも感情の投資先を分散させなければ破綻します。恋愛脳と呼ばれる人々が抱える情熱のエネルギーそのものを否定・撲滅する必要はありません。その巨大な情動エネルギーのハンドルを自分の手元に取り戻し、人生の複数領域へと再配分することこそが本質的な解決策なのです。