ネット上の情報では「知床五湖=どこまでも歩ける木道」というイメージが先行しがちですが、ここには決定的な誤解があります。
バリアフリー化され、誰でも気軽に一湖まで行けるのは「高架木道(往復1.6km)」のみです。高架木道は地上から2〜5mの高さに架設されており、全線にわたって7,000ボルトの電気柵(電気牧柵)が張り巡らされています。万が一ヒグマが下を通過しても安全が保たれる構造になっており、閉館時間まで自由に散策できます。
一方、二湖から五湖を巡る「地上遊歩道」は、文字通り野生動物と同じ地面を歩くルートです。電気柵などの防護設備は一切存在しません。そのため、遊歩道付近でヒグマの目撃情報があった瞬間、あるいはフィールドハウスの監視員が痕跡を発見した瞬間に、遊歩道全体が「即時閉鎖(クローズ)」されます。
せっかく予約やレクチャーを済ませて出発しても、散策途中で引き返しを命じられる事態は珍しくありません。このリスクをあらかじめ織り込み、閉鎖された場合は高架木道からの展望へ柔軟に切り替える心の準備が必要です。