「世界で最も高価なコーヒー」を語る際、基準は大きく2つに分かれます。1つは品質を競う国際品評会で落札される「品種・テロワール重視の最高峰」、もう1つは動物の消化器官を利用した「希少プロセスによる超限定品」です。
現在、名実ともに市場最高値を叩き出しているのが、中米パナマで生産されるゲイシャ種です。国際品評会「ベスト・オブ・パナマ(Best of Panama)」において、過去最高クラスのロットは1キログラムあたり100万円を遥かに超える金額で落札されました。これを国内の一流ロースターや外資系ラグジュアリーホテルで抽出した場合、原価や焙煎時のロス、抽出技術料が加味され、世界一高いコーヒーの1杯あたりの値段は3万円から5万円前後に設定されるケースが珍しくありません。ドバイやニューヨークの限定サロンでは、1杯1,000ドル(約15万円)で提供された実例すら存在します。
一方で、タイ北部で生産される象の消化酵素を利用したブラックアイボリーは、1キロあたり約3,000ドル(約45万円)で流通し、五星ホテルでの提供価格は1杯あたり1万円から1万5,000円が相場です。かつて高級豆の代名詞だったジャコウネコの糞から採取されるコーヒー「コピルアク」を大きく凌駕する新興勢力が、世界の富裕層の関心を集めています。