日本のプロ野球(NPB)において、パシフィック・リーグ(パ・リーグ)がDH制を導入したのは1975年のことでした。当時、読売ジャイアンツを中心とするセントラル・リーグ(セ・リーグ)に観客動員数や注目度で大きく水をあけられていたパ・リーグは、大胆な改革を必要としていました。
得点シーンを増やして豪快な打撃戦をファンに届けること、そしてエース投手が打席での怪我や疲労を気にせず投球に専念できる環境を作ることを目的に導入が決断されました。結果としてパ・リーグは強打者を数多く輩出し、力と力がぶつかり合うダイナミックな野球スタイルを確立した歴史があります。
一方、セ・リーグが現在もDH制を採用していない背景には、9人野球の美学と戦術の妙を重んじる哲学があります。「投手を何回で打席に立たせるか」「点差と打順の兼ね合いで投手を交代させるか」という采配の駆け引きは、セ・リーグならではの醍醐味です。とはいえ、交流戦や日本シリーズにおけるパ・リーグ勢の強さ、投手の肩肘への負担軽減といった観点から、セ・リーグでの導入を求める議論も定期的に熱を帯びています。