Excelの行と列をいかに扱うかは、そのビジネスパーソンの思考の明晰さを映し出す鏡です。長年数多くのデータ解析基盤や業務改善プロジェクトを指揮してきた専門家の見解として、表作成で劇的な成果を出す人とミスを連発する人には、明確な分水嶺が存在します。
優れた実務家は、データを設計する段階で「縦持ち(レコード形式)」を徹底します。1行につき1件のデータ(顧客ID、日付、売上額など)が下方向(行方向)へ積み上がっていく構造です。この構造を保つことで、ピボットテーブルや最新のPower Query、BIツールへそのまま流し込むことが可能となり、一切の手作業が不要になります。
対照的に、業務が遅い人は「人間が見やすいから」という理由だけで、安易に右方向(列方向)へ月次データを継ぎ足していく「横持ちの帳票形式」を作成してしまいます。列方向に延々と伸びた表は、関数の参照範囲を複雑怪奇にし、最終的に「セルの結合」を多用して更新不能なブラックボックスへと堕落します。
業務効率化の観点から、自らの作業習慣を見直すための判断基準を提示します。
▼ 行列操作を武器にできる人の条件:
・データ入力用の「生データシート(縦持ち)」と、閲覧用の「レポートシート」を明確に分離している
・ショートカットを活用し、マウスに触れる時間を削って思考の持続性を保っている
・ROW関数やTRANSPOSE関数など、構造の変更に強い動的な数式を好む
▼ 即座に習慣を改めるべき人の条件:
・見栄えを整えるためだけに、データエリア内でセルの結合を乱用している
・新しいデータを追加する際、横方向(列)に月ごとの列を延々と増やしている
・行の追加や削除を手動の右クリックメニューだけに頼り、1日中セルをドラッグしている