当時、女優やタレントが大胆な姿を披露することは、出版業界にとっても巨大な社会現象を生み出す起爆剤だった。雑誌の巻頭を飾るたびに版を重ね、写真集は記録的なセールスを叩き出す。名取裕子の作品群は、そのムーブメントの頂点に位置していた。
芸術とエロティシズムの境界線を巡る議論が巻き起こる中、彼女が見せた凛とした佇まいは、そうした下世話な好奇心をねじ伏せるだけの説得力を持っていた。単なるスキャンダル消費にとどまらず、文化的アーカイブとしての価値を確立していった背景には、被写体としての名取裕子の圧倒的な存在感があったことは間違いない。