玉掛け作業で使用される代表的な吊り方は、荷の形状、表面の摩擦係数、吊り金具(アイボルト等)の有無によって厳密に使い分ける必要があります。荷の特性に合わない吊り方を選択すると、荷の抜け落ちやスリングの破断を引き起こします。現場で頻用されるスリングベルト吊り方種類およびワイヤーロープの基本掛け方は以下の4系統に大別されます。
1. 直吊り(ストレート吊り)
スリングの一端をクレーンのフックに掛け、もう一端を荷の吊り環(アイボルトやシャックル)に直接連結する最も基本的な方法です。スリング本来の破断強度を最も効率的に発揮できますが、荷にフック受けや専用アイボルトが正しく設置されていることが前提となります。
2. 玉掛け目通し吊り(チョーク吊り / 絞り吊り)
スリングを荷に回し掛け、片側のアイ(輪)にもう一方の端部を通すことで、荷の自重によって結束を締め付ける吊り方です。形鋼やパイプ束など、吊り金具のない資材を束ねて吊る際に多用されます。ただし、絞り部(チョーク部)に強い折り曲げ応力と摩擦力が集中するため、基本使用荷重の約80%(モード係数0.8)程度まで耐力が低下する点に厳重な注意が必要です。
3. 玉掛けあだ巻き吊り(ダブルチョーク吊り)
目通し吊りをさらに進化させ、荷に対してスリングを完全にもう1周巻き付けてからアイを通す手法です。通常の目通し吊りでは滑りやすい丸棒、足場単管、濡れた鋼管などに対し、全周にわたる摩擦力を均等に生じさせて抜け落ちを強力に防止します。重心が偏りやすい長尺物を扱う現場では、荷の傾きによるすっぽ抜けを防ぐ決定的な安全対策として標準採用されています。
4. 半掛け吊り(バスケット吊り)
荷の下部にスリングを通し、両端のアイをクレーンフックに掛けるU字型の吊り方です。スリングが2本平行にかかるため耐荷重性能は理論上高まりますが、荷を締め付ける力が一切働かないため、荷が水平を失うと一瞬で滑り落ちる危険性を孕んでいます。必ず2本以上の組み合わせで使用し、バランスが完全に取れる対称構造物に限定して適用されます。