ネット上で流布されている自重トレーニング情報には、運動生理学の観点から見ていくつかの看過できない誤解が存在します。代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
誤解1:「毎日やればやるほど早く胸筋がつく」
筋肉はトレーニングによって微細な損傷を受け、十分な休養と栄養補給を経て以前より太く強くなります(超回復)。大胸筋の回復には一般に48時間〜72時間を要します。毎日休まず腕立て伏せを行うと、筋繊維の修復が追いつかずオーバートレーニング状態となり、筋肥大どころか筋分解(カタボリック)が進んでしまいます。腕立て伏せ 回数 頻度 目安としては「週2〜3回、中1〜2日の休息を挟む」のが最も効率的です。
誤解2:「自重ではある程度までしか筋肥大しない」
「自宅の腕立てでは自重の約6割程度しか負荷がかからないため、厚い胸板は無理」という意見もあります。しかし、胸板 厚くする 自重トレーニングの極意は、腕立て伏せ 筋肥大 コツである「テコの原理を用いた負荷調整」にあります。足を高くする、動作スピードを落とす(スロートレーニング)、動作の合間に一時停止を入れる(ポーズプッシュアップ)、あるいは片手へ重心を偏らせる(アーチャープッシュアップ)など、漸進性過負荷(オーバーロード)の原則を適用することで、自重のみでもベンチプレス80kg相当の筋緊張を大胸筋へ与え続けることが可能です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
自宅での腕立て伏せプログラムを軸に体づくりを進めるべきか、あるいは別のアプローチを選択すべきかについては、以下の判断基準を参考にしてください。
【腕立て伏せを徹底的にやり込むべき人】
- ジムに通う時間的・金銭的リソースを節約し、自宅完結で引き締まった立体的な胸板を作りたい人
- ベンチプレス等で肩や手首を痛めやすく、自重で関節に優しい自然な運動連鎖を身につけたい人
- 体幹(コア)の筋力と胸筋を同時に鍛え、実用的で機能的な肉体を手に入れたい人
【慎重になるべき人・別アプローチを検討すべき人】
- ボディビル大会出場レベルの極限の筋肥大・圧倒的なバルクアップ(胸囲110cm以上など)を目指す人(=ジムでの高重量バーベル・ダンベル導入が不可欠)
- 過去に重度の腱板損傷や慢性的な肩峰インピンジメントを患っており、プッシュ動作で激痛が走る人(=徒手抵抗やアイソレート種目のリハビリを優先すべき)