連続殺人事件の真犯人は、日本画の巨匠として知られる如月峰水でした。かつて美緒の絵画の師匠でもあった老画家が凶行に及んだ理由は、生涯をかけて描き続けてきた富士山の絶景を奪われたことにあります。
如月は晩年、富士山を一望できる高台にアトリエを構え、四季折々の富士の姿をキャンバスに収めることを生きがいにしていました。しかし、弟子である常盤美緒と大木市議が結託してツインタワービルを建設したことで、アトリエから望む美しい富士山は2つの巨塔によって無残にも真っ二つに分断されてしまいます。
現場に残された「割れたお猪口」は、単なる見立て殺人ではなく、「自分の富士山を真っ二つに割られた」という如月の深い絶望と怒りの告白でした。芸術家としての魂を冒涜されたと感じた如月は、建築計画を強行した関係者たちへの復讐を決意したのです。ただし、原佳明の殺害に関しては如月が手を下す前にジンが暗殺していたため、如月自身は原の死後に現場へ潜入してお猪口を置くという異例のトリックが生じることとなりました。