聖武天皇の時代と激動の奈良|疫病と反乱の果てに選んだ大仏の真相

聖武天皇の時代と激動の奈良|疫病と反乱の果てに選んだ大仏の真相

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聖武天皇の時代を、1300年前の遠い過去の出来事として片付けることはできません。パンデミックの襲来、社会の分断、経済の低迷、相次ぐ自然災害という複合危機(ポリクライシス)は、現代社会が直面している課題と不気味なほど酷似しています。

災異思想のプレッシャー下で「逃げなかった」為政者の本質

近代以前の首長にとって、「疫病で国民の3割が死ぬ」ことは、自身の統治権を全否定されるに等しい事態でした。あらゆる非難と呪詛の矛先が自分に向かう極限状況において、聖武天皇は自らの不徳を認め、罪を一身に背負いながらも、国家の精神的支柱を再建するために生涯を捧げました。

注目すべきは、彼が「自らの権威を誇示する」のではなく、「行基という市井のカリスマを受け入れる柔軟性」を持ち合わせていた点です。官僚機構のプライドを捨て、民衆の心をつかむ現場のリーダーと手を結んだこのプラグマティズム(実用主義)こそが、破滅寸前だった日本社会を繋ぎ止めました。

タイプ聖武天皇の治世から学ぶべき対象者実践的な分析ポイント・教訓深く学ぶべき人不確実性の高い時代に組織を率いるリーダー、危機管理担当者、社会構造の変革を志す人前例踏襲を捨てた大胆な官民連携(行基の登用)、人心統合のためのビジョン提示(大仏造立)、旧来の構造にとらわれない制度改革(墾田永年私財法)の冷徹な決断力。注意・再考が必要な人歴史を「善悪」や「暗君/名君」という二元論のみで断罪したい人、単一の政策結果のみを切り取る人墾田永年私財法が後の荘園制を生んだからといって、当時の緊急避難的措置としての必然性を見落としてはならない。多角的な複合要因を立体的に捉える視点が必要。
中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。