『モンスターズ・インク』を繰り返し鑑賞している熱心なファンほど、本作のオープニングに強い違和感を覚えたはずです。前作の作中、マイクに対してサリーが放った「小学4年生のときからお前は俺の容姿に嫉妬していた」というセリフが存在するためです。この発言に従えば、二人は幼少期からの幼なじみであるはずでした。
ところが、『モンスターズ・ユニバーシティ』で二人が初めて顔を合わせた場所は、まぎれもなく「モンスターズ・ユニバーシティ(MU)」の怖がらせ学部の講義室でした。秀才肌のマイクと、名門の血筋にかまけるサリーは、初対面から互いに強い嫌悪感を抱き、激しいライバル関係から物語がスタートします。
この明確な矛盾について、監督を務めたダン・スキャンロンは制作当時のインタビューで舞台裏を明かしています。制作陣は当初、小学校時代に出会った二人が大学で再会するというプロットも真剣に検討していました。しかし、その設定では「全く異なる価値観を持つ二人が衝突を乗り越えて真の親友になる」という青春ドラマのダイナミズムが失われてしまうと判断されたのです。ピクサーの首脳陣であり前作の監督でもあるピート・ドクターらも協議に加わり、「モンスターの世界では『小学4年生の頃から』というのは『昔からの長い付き合い』を意味する慣用句のようなものだ」というユーモアを交えた解釈を採用し、ストーリーの面白さを最優先して大学での出会いを正史と位置づけました。