茹で上がった直後の鮮やかな緑色をキープしようとして、ザルに上げた枝豆をそのまま氷水や流水にさらしてしまうケースが散見されます。ほうれん草やブロッコリーなどの青菜で行う「色止め(冷水に落とす処理)」の感覚をそのまま枝豆に適用してしまうことが、仕上がりを台無しにする最大の原因です。
調理科学の観点から見ると、加熱された枝豆の細胞膜は熱によって透過性が高まっています。この状態で真水にさらすと、浸透圧の差によって内部に蓄えられていたグルタミン酸やショ糖などの旨味・甘み成分が一気に外へ溶け出し、内部に余分な水分が侵入します。結果として「水っぽく、味がぼやけた豆」に変質してしまうのです。さらに、せっかく莢(さや)に馴染ませた絶妙な塩分まで洗い流されてしまいます。
プロの料理人が実践する正しい冷まし方は、茹で上がったらすぐに平らなザルやバットへ重ならないように広げ、うちわや扇風機、ドライヤーの冷風を使って一気に粗熱を取る方法です。風を当てて急速に蒸発熱を奪うことで、余熱による火の通り過ぎ(食感の軟化)を防ぎつつ、鮮烈な緑色のクロロフィル色素をしっかりと定着させることができます。