2002年、ひとつの読切漫画がジャンプ編集部を揺さぶった。『週刊少年ジャンプ』が主催していた「天下一漫画賞」の第71回において佳作を受賞した『だんでらいおん』である。作者である空知英秋の名は、当時は無名の新人過ぎなかった。しかし、そのページを捲った編集者や読者が目にしたのは、新人離れした圧倒的なテンポ感と、どこか冷めていながらも情に厚いキャラクターたちの会話劇だった。
物語の舞台は、成仏できない未練を残した幽霊を天国へと送る組織「丹波組(たんぽぽ組)」。そこに所属する異色の主人公・丹波鉄男と、相棒の美咲が繰り広げるドタバタ劇だ。生と死という重厚なテーマを扱いながら、ギャグとシリアスを縦横無尽に行き来する構成力は、当時の誌面でも異彩を放っていた。