「テレビで見かける機会が減った」という噂の裏には、ベテラン女優ならではの表現手法のシフトが存在する。少女時代に一世を風靡した彼女にとって、メディア露出のスタイルが変化したのは仕事の減衰を意味しない。脚本家の橋田壽賀子が生み出した重厚な台詞回し、そして劇中で母親役を演じた泉ピン子ら名優たちとの迫真の掛け合いは、幼少期の小林綾子に「本物の芝居」を強烈に刻み込んだ。
芸能界という浮沈の激しい世界において、若さや話題性だけに頼るタレント的消費を避け、一過性のブームから一線を画す道を選んだこと。それが地上波露出の調整へとつながった。過度な露出を控え、一作一作の質を吟味する丁寧な姿勢こそが、結果として画面上の露出減少という印象を生んだに過ぎない。