布素材の種類に応じた影の表現を理解すれば、イラストのクオリティは一気に跳ね上がる。ボア素材、フリース、ベロア、あるいは少し使い古された綿布など、ぬいぐるみには多種多様なテクスチャが存在する。
初心者が最も習得しやすいのは、「固有色」「ベース影」「ハイライト」「環境光」の4層構造で塗り分ける方法だ。影の境界線(明暗の境目)をシャープに残す部分と、ぼかしツールで柔らかく馴染ませる部分を意図的に混在させるのがポイントとなる。特に光が当たるハイライト部分には、カチッとした強い光を入れず、広範囲にじわっと滲むような柔らかい光を置くのがコツだ。
縫い目(ステッチ)の描き込みも忘れてはならない。等間隔に並ぶ糸の凹凸と、その糸が生地を引っ張ることで生まれる微小なシワ。この2要素を丁寧に描写することで、デジタル絵特有のツルツルとした平坦さが消え、手作りの温かみを感じさせる画面が完成する。