今でこそ主役級の地位を誇る北村一輝ですが、その生い立ちは異色の連続でした。幼少期に映画『海の若大将』を観て船乗りに憧れ、愛媛県にある弓削商船高等専門学校へ進学。しかし「商船員になっても海賊にはなれない」と気づき、役者を志して商船高専を中退します。
上京して芸能界の門を叩いたものの、当初は思うような仕事に恵まれず挫折を経験。およそ4年間にわたりオーストラリア、南米、東南アジアなどを巡るバックパッカー生活へ身を投じました。資金が尽きると現地で働き、異国の文化や多様な価値観に触れたこの経験が、現在の骨太な人間力とハングリー精神を育む原点となっています。
帰国後はエキストラ同然の端役から再スタート。1990年代後半のVシネマや三池崇史監督作品で強烈なインパクトを残し、映画の役作りのために自ら前歯を数本抜いて撮影に挑むなど、狂気すら感じさせるプロ意識で業界内にその名を轟かせました。