真鍋作品が放つ異常なまでの説得力は、徹底した当事者への直接インタビューに支えられています。ネットや文献の二次情報に頼らず、違法風俗の従事者、反社会的勢力の構成員、ホスト、生活保護受給者、新興宗教関係者など、光の当たらない現場へ自ら足を運び、肉声を収集するのが真鍋昌平の真骨頂です。
過去のメディアインタビューで明かされた取材裏話には、背筋が凍るエピソードが少なくありません。繁華街の雑居ビルに呼び出され、屈強な男たちに囲まれながらボイスレコーダーを回した経験や、取材相手が後日逮捕されたり行方不明になったりした事例も存在します。
「善悪の判断をせず、ただ相手の生きてきた文脈を聴く」という真鍋の真摯な取材姿勢が、警戒心の強いアングラ住人たちの口を開かせ、フィクションでは決して描けない生々しいディテールを生み出しています。