歌詞の一節一節に込められた言葉の重みは、聴く者の心を揺さぶらずにはおかない。「なつかしい故郷の道を 歩み出す足音よ」という言葉から始まる詩世界には、過酷な現実に立ち向かいながらも、愛する人と共に新しい道を切り拓いていく強い意志がみなぎっている。
モデルとなった竹鶴政孝とリタが歩んだ道のりは、決して平坦なものではなかった。太平洋戦争という時代の荒波、文化の違い、周囲からの偏見。そうした困難を乗り越えて日本独自の本格ウイスキーを完成させた情熱を、中島みゆきは「麦」という力強い生命のシンボルに託したのである。倒れても立ち上がり、風にそよぎながらも深く根を張る麦の生命力こそが、この楽曲の真骨頂だ。