1983年末、日本中のお茶の間が固唾を呑んで見守ったのが「第34回NHK紅白歌合戦」でした。この年、日野美歌さんと佳山明生さんは揃って紅白初出場の切符を手にします。同一の楽曲を歌う歌手が、紅組・白組に分かれて同じステージで歌唱を披露するという演出は、紅白史上でも極めて珍しい出来事でした。
本番では、日野美歌さんが紅組の序盤に登場し、艶やかな着物姿で情感たっぷりに熱唱。対する佳山明生さんも白組から魂を込めた歌声を響かせ、会場とテレビの前の視聴者を大いに沸かせました。ライバルとして競い合ってきた2人が、互いの健闘を称え合う姿は、昭和の歌謡界が持つ人間味と熱量を象徴する名シーンとして語り継がれています。