ターミナルの浮桟橋には、性格の異なる二つの船が並ぶ。一つは島民のライフラインであり旅人の足でもある「鳥羽市営定期船」。もう一つは、イルカ島や鳥羽湾を周遊する優雅な観光船を運航する「志摩マリンレジャー」だ。両者が織りなす航路網は、日本で最初に指定された国立公園の一つである伊勢志摩国立公園の絶景を余すところなく結んでいる。
波を切って進む船上デッキに立てば、複雑に入り組んだリアス海岸の緑と深い群青の海がパノラマとなって広がる。市営定期船の実直なスピード感と、観光船ののんびりとしたクルージング。旅の目的に応じて航路を選び分ける贅沢がここにはある。海の上から眺める鳥羽の街並みは、陸路のドライブでは決して味わえない立体的な旅情をもたらしてくれる。