ネット上のレシピ情報と、実際に一般家庭のキッチンで調理した際のギャップについて、大手レシピコミュニティやSNSに投稿された失敗談を精査すると、驚くほど共通した盲点が浮かび上がります。
「レシピ通りに作ったら、牛すじが小さく縮んで行方不明になった」「炊飯器で作ったらパッキンにカレーの匂いが染み付いてご飯が炊けなくなった」「翌朝のカレーの表面に白い脂の塊がびっしり浮いてギトギトになってしまった」といった生々しい悲鳴です。
都内の老舗洋食店で仕込みを担当するベテランシェフは、厨房での取材に対して次のように舞台裏を明かしています。
「牛すじは加熱すると水分と油分が抜けて体積が約50〜60%まで収縮します。家庭で作る際、最初から小さく切り刻んでしまうと、煮上がったときには繊維クズのようになってしまう。下茹でが終わった段階では、『大きすぎる』と感じる一口大(約4〜5cm角)にカットするのがプロの現場での鉄則です」
また、炊飯器調理における匂い移り問題についても、現場目線での自衛策が存在します。多くの失敗例は「カレールーを内釜に投入して再加熱した」ことによって、粘度の高いルーが蒸気孔を塞ぎ、蓋のゴムパッキンにスパイス油が熱融着したために発生しています。牛すじと香味野菜の「下煮込み」のみを炊飯器に委ね、ルーを溶き合わせる工程は普通の鍋に移して行うだけで、家電を傷めるリスクを完全に回避できます。