進路相談の場で頻出するのが、「九産大はFランなのか」「通うのは恥ずかしいことなのか」という切実な悩みです。結論から述べれば、九産大を「Fラン(ボーダーフリー=定員割れで不合格者が出ない大学)」と呼ぶのは客観的な入試事実と明確に矛盾します。全学部で志願者倍率が発生しており、学力基準を満たさなければ不合格となります。
それにもかかわらず、なぜこのような不名誉なラベルが貼られるのでしょうか。ここには社会学における「ラベリング理論」と、九州特有の学歴序列意識が深く関わっています。
福岡都市圏の私立大学市場では、長年「西南学院大学(文系上位)」と「福岡大学(総合上位)」が双璧として君臨してきました。受験生や地元社会の心理において、その直下に位置する九産大は「西南・福大に届かなかった層の受け皿」という相対的な序列意識で見られがちです。心理学でいう「ネガティビティ・バイアス(否定的な側面に意識が集中する現象)」が働き、第一志望で入学しなかった一部の学生が抱く挫折感が、ネット掲示板上で自虐的な言葉として再生産されているのです。
しかし、産業界の目線は全く異なります。福岡商工会議所関係者の取材では、「九産大の卒業生は現場での行動力があり、泥臭い業務や人間関係の構築を厭わない。学歴を鼻にかけることなく長く会社を支えてくれる」という極めて現実的な評価が定着しています。学歴フィルターの網にかかる全国規模のメガベンチャーや外資系投資銀行を除けば、地域に根差す優良企業において何ら気後れする理由はありません。