近年、20代から50代を中心に利用者が急増している眉やリップのアートメイク。そしてファッションタトゥー。これらがMRI検査の問診票で厳しくチェックされる理由は、使用されている着色顔料(インク)の成分にあります。多くの色素には、発色や定着を安定させるために微細な酸化鉄(ヘマタイトやマグネタイトなど)が含まれています。
磁場の中で高周波パルスが照射されると、顔料に含まれる金属粒子がアンテナの役割を果たし、局所的に高熱を発します。臨床現場からは「眉周辺がチリチリと焼け付くような激痛を感じた」「検査後に水疱や紅斑(軽度の熱傷)が確認された」というインシデント報告が継続的に上がっています。これがMRIタトゥー火傷リスクの真相です。
「自分が入れたサロンではMRI対応色素と言われたから安心」という思い込みは禁物です。色素メーカーの成分分析において重金属フリーと謳われていても、微量の金属不純物が混在しているケースは少なくありません。現在、多くの医療機関では以下のような対応方針を敷いています。
- 原則確認と同意書の提出:眉やアイラインのアートメイクがある場合、熱傷のリスクと「万が一熱感が生じたら即座にブザーで知らせる」旨の同意書に署名を求める。
- アイシング対応:撮像部位に近い顔面や頭部の検査では、冷却ジェルパックで局所を冷やしながら撮像を実施するケースもある。
- アイラインの粘膜側施術:眼球周辺のデリケートな皮膚は特に熱傷を起こしやすく、施設によっては頭部検査を断念し他検査へ切り替える場合がある。
身体の広範囲にタトゥーが施されている場合も、皮膚表面のループ回路形成による火傷リスクが急激に跳ね上がります。受診前の問診で隠す行為は、自身の肌に消えない熱傷痕を残す結果につながりかねません。