自宅の庭やベランダで遭遇した瞬間、目の前の生き物がトカゲなのかヤモリなのかを判定するためのチェックポイントは極めて明快です。観察者がまず注目すべきは、「まぶたの開閉」と「活動している場所と時間帯」の2点に集約されます。
生物学的に見て、ニホントカゲをはじめとするトカゲ類には可動式のまぶたが存在します。人間と同様に眠るときやまばたきをするときに目を閉じることができ、瞳を保護する構造を備えています。対照的に、ニホンヤモリには動かせるまぶたがありません。眼球表面は透明な鱗(スペクタクル)で覆われており、瞬きをする代わりに自らの長い舌で眼球を直接舐めて清掃・保湿するという特異な行動をとります。現場で目が合った際、パチパチと瞬きをするならトカゲ、大きく見開いた目をペロリと舐める仕草を見せればヤモリと断定できます。
第二の決定打となるのが、その個体を発見したシチュエーションです。トカゲは基本的に日光浴(バスキング)によって体温を上げる「昼行性」の生き物であり、日中の草むらや石の上、ブロック塀の基礎部分など、地上付近で素早く動き回ります。一方でヤモリは光を嫌い暗がりを好む「夜行性」であり、日没後に窓ガラスや外壁の照明付近へと垂直に登って出現します。「昼間に地面を這っていればトカゲ」「夜に壁や窓に張り付いていればヤモリ」という法則は、都市部から農村部に至るまで9割以上の確率で成立する現場の鉄則です。