自衛隊は徹底した階級社会だ。全16階級で構成されるピラミッド組織において、給与水準は階級と勤務年数によって冷徹なまでに明確に分かれている。最も下層に位置する「士」クラスから、組織の頂点に君臨する「将」クラスまでの年収格差は実に5倍以上に及ぶ。
まず門戸を叩いたばかりの若手である「士(2等士・1等士・士長)」クラス。任期制隊員や一般曹候補生として入隊した彼らの月給は、おおむね19万円から24万円程度。賞与を含めた額面年収は320万〜420万円前後にとどまる。税金や共済組合費などが引かれた後のリアルな手取り額は、月15万〜18万円ほどだ。数字だけを見れば決して高くはない。しかし彼らには「営内生活」という特権がある。駐屯地内の隊舎で暮らす場合、家賃、水道光熱費、1日3食の食費はすべて無料。通信費や嗜好品以外の支出が極限まで抑えられるため、可処分所得の割合で言えば民間の新入社員を大きく上回る貯金が可能だ。
現場の屋台骨を支える「曹(3等曹〜曹長)」クラスになると、風景は一変する。部下を持ち、実務のエキスパートとして部隊を牽引する彼らの月給は26万〜45万円、年収は500万〜750万円前後へと跳ね上がる。曹に昇任して営外居住(駐屯地外での一人暮らしや家族帯同生活)が認められると、手取りは月22万〜35万円前後。マイホームを購入し、子どもを育てる隊員が多くなるのもこの階級だ。
さらに部隊の指揮を執る「幹部(3等尉〜1等佐)」クラスでは、月給30万〜60万円超、年収は600万〜1,100万円に達する。特に連隊長や艦長、飛行群司令といった要職を務める1等佐クラスともなれば、民間大企業の部長級に匹敵する報酬を得る。そして組織の頂点、陸・海・空の幕僚長や最高位の統合幕僚長を含む「将」クラスは、基本月給だけで70万〜100万円超、年収ベースでは1,500万〜2,300万円規模に達する。国家の命運を背負う重責と引き換えに手にする最高峰の待遇だ。