佐々木一郎氏のキャリアを特徴づける最大の要素は、日本の大手製造業トップとしては王道でありながら、極めて高い専門性を誇る技術者としてのバックグラウンドです。
1957年3月生まれ、愛知県出身の佐々木氏は、地元屈指の名門である名古屋大学工学部機械工学科を1979年に卒業。さらに1981年には同大学大学院工学研究科修士課程を修了しました。精密機械工学の高度な知見を携えて1983年にブラザー工業へ入社して以来、一貫して製品開発の最前線で実績を積み上げてきました。
研究開発部門のリーダー、執行役員開発本部長、取締役専務執行役員などを歴任し、主力事業である情報通信機器(複合機・プリンター)の競争力強化に決定的な役割を果たしました。生粋のエンジニアがトップに上り詰めた経緯は、製造業における「現場と技術への深い理解」がいかに強固な経営基盤となるかを物語っています。