大名跡の継承は、単なる名称の交代ではない。十三代目 市川團十郎白猿としての名を披露して以来、その肩にのしかかる歴史の重みは想像を絶する。十一代目 市川海老蔵時代に見せた鋭利な才能は、年月の試練を経てより深く、重厚な風格へと昇華を遂げた。成田屋の家芸である「荒事」のダイナミズムを継承しつつ、現代の観客の心に届く表現を探求し続ける姿は、まさに孤高の表現者だ。
興行を支える松竹株式会社との緊張感を含んだパートナーシップの中で、彼は常に劇場の空気を支配してきた。成田屋という巨大な看板を守り抜く決意は、稽古場の緊張感や眼光の鋭さにそのまま現れる。伝統の重圧をものともせず、舞台上で放たれる圧倒的な覇気は、観る者の言葉を奪うほどの迫力に満ちている。