大手フィットネスクラブの会員コミュニティやSNS上には、「カール動作をすると肘の内側がズキズキ痛む」「肩の付け根に引っかかるような違和感がある」といった悲鳴が日常的に投稿されています。上腕二頭筋の鍛え方を誤ると、筋肥大どころか長期離脱を余儀なくされる深刻な障害に直面します。
上腕二頭筋の痛みの原因として頻発するのが、上腕二頭筋長頭腱炎および内側上顆炎(いわゆるゴルフ肘・フォアアームペイン)です。長頭腱は肩関節の狭い骨の溝(結節間溝)を通っているため、重いダンベルを無理なフォームで振り回すと摩擦によって激しい炎症を起こします。
さらに警戒すべき最悪の事態が、上腕二頭筋の腱断裂です。特に40代以降の男性や、高重量のデッドリフトをオルタネイトグリップ(順手と逆手)で行う際、あるいはプリーチャーカールで肘を急激に伸ばし切った瞬間に発症するケースが後を絶ちません。断裂時の症状としては、以下のような顕著な兆候が現れます。
- 「プチッ」「バチン」という鈍い破裂音や断裂感の自覚
- 激しい疼痛とともに、力瘤の筋肉が縮んで塊となり下垂する「ポパイサイン(筋肉の変形)」の出現
- 肘から前腕部にかけて広がる広範囲の皮下出血(内出血)と脱力
腱断裂を起こした場合、保存療法では腕の屈曲力や回外力が著しく低下するため、多くのケースで腱を骨に再固定する外科手術が必要となります。「重いものを持ち上げれば筋肉は太くなる」という過信が、取り返しのつかない大怪我を招くのです。