今まさに襲いかかる吐き気を楽にする方法として、薬が手元にない状況でも即座に実践できる医学的根拠に基づいた3つの応急アプローチを解説します。
まず見直すべきは「身体を休める体勢」です。吐き気がある時に横になる向きは、医学的に「右側臥位(右側を下にして横になる姿勢)」が鉄則です。人間の胃はアルファベットの「C」の字のように左から右へと湾曲しており、出口(幽門)は右側に位置しています。右側を下にして軽く膝を曲げる(胎児のような姿勢)ことで、胃の内容物がスムーズに十二指腸側へと流れ、胃内圧が下がって吐き気が緩和されます。逆に左を下にして横になると胃に負担がかかり、逆流が悪化しやすくなります。なお、横になると気持ち悪い場合は、クッションを背中に当てて上半身を30度ほど起こす「半坐位(ファーラー位)」が有効です。
次に、東洋医学および現代の臨床試験でも有効性が実証されている経穴(ツボ)の刺激です。吐き気止めの代表格として知られるのが「内関(ないかん)」です。手首の内側にあるシワの中央から、指幅3本分ひじに向かって下がった位置、2本の太い腱の間にあります。ここを親指の腹で「痛気持ちいい」と感じる程度の強さで、深呼吸を合わせながら5秒押して5秒離す動作を2〜3分繰り返します。内関は自律神経の興奮を鎮め、胃の逆方向への緊張を解く効果が認められています。
併せて、ベルトや下着、ネクタイなど腹部を締め付けている衣服をすべて緩め、室内の換気を行って新鮮な空気を取り入れましょう。冷たいおしぼりや保冷剤を首の後ろや額に当てると、副交感神経が刺激され、迷走神経反射による冷や汗や血圧低下を和らげることができます。