ショウリョウバッタを100円ショップの小型プラスチックケースに閉じ込める行為は、致命的な事故を引き起こします。メスは体長8cmを超え、後ろ脚の跳躍力は驚異的です。狭い空間ではプラスチックの壁に頭部や大顎を強打し、茶色い胃液を吐いて衰弱死するリスクが跳ね上がります。
長寿を支える飼育ケースのレイアウトの基本は、「中型から大型(幅30〜40cm以上、高さ20cm以上)」の通気性に優れたケースを選ぶことです。底面には清潔なキッチンペーパー、または保湿と緩衝を兼ねた薄い赤玉土を敷きます。最も重要なのは、空中に十分なしがみつき場所を作ることです。ケース内に斜めに立てかける枯れ枝や、根元を湿らせた脱脂綿で包んだ新鮮なエノコログサを立体的に配置します。
不完全変態を行うバッタ類にとって、最大の生命の危機が脱皮です。脱皮失敗の原因と対策を怠ると、新しい皮膚が固まる前に落下して翅や脚が歪み、そのまま死に至る「脱皮不全」が発生します。幼虫は草の茎や天井の網に逆さまにぶら下がり、重力を利用して古い殻から抜け出します。十分な高さとしっかり掴まれる足場がなければ、生還率は著しく低下します。
さらに見落とされがちなのが、共食いを防ぐ飼育環境の構築です。草食性のショウリョウバッタであっても、高密度で多頭飼育されている環境下やタンパク質・水分が極端に不足した状況では、脱皮直後の無防備で柔らかい仲間を襲って貪り食う凄惨な共食いが発生します。1つのケースで飼育する成虫は原則としてペア(オス1匹・メス1匹)または同サイズ2〜3匹を上限とし、常に新鮮な草を切らさない過密防止策が求められます。