「清廉潔白」「誠実」という言葉は、加藤剛さんの役柄だけでなく、私生活そのものを表す言葉でした。酒やタバコ、派手な夜遊びを好まず、撮影現場には常に完璧に台詞を頭に入れて時間通りに現れる姿勢は、共演者やスタッフから絶大な信頼を寄せられていました。
加藤さんの温かな人柄を象徴するのが、盟友・竹脇無我さんとの絆です。竹脇さんが後年、重度のうつ病や糖尿病を患い苦しんでいた時期、加藤さんは誰よりも心配し、頻繁に連絡を取り合って励まし続けました。『大岡越前』の現場でも竹脇さんの体調を常に気遣い、静かに寄り添い続けたエピソードは、二人の固い友情を物語っています。2011年に竹脇さんが急逝した際、加藤さんは深い悲しみに暮れながらも、親友への尽きない感謝を語っていました。
また、平和への思いも人一倍強く、戦争を題材にした朗読劇や平和運動にも熱心に取り組みました。自らの信念に対して嘘をつかず、常に弱者や他者への思いやりを忘れなかった姿勢こそが、加藤剛という俳優が世代を超えて敬愛される最大の理由です。