退職届を作成するにあたり、最も格式が高く伝統的な形式とされるのが「白無地便箋への手書き・縦書き」です。人事管理のデジタル化が進んだ現在では、パソコンでの作成や社内指定のワークフロー申請を認める企業も増えていますが、形式に厳格な業界や年配の役員が在籍する企業では、依然として手書きの書面が好まれる傾向にあります。
退職届の縦書き見本(手書き例文)
縦書きで作成する場合の標準的な構成とレイアウトは以下の通りです。便箋の罫線はあってもなくても構いませんが、無地またはビジネス用の落ち着いた縦罫線のものを選びます。
【退職届の縦書きレイアウト】
(第1行)退職届
(第2行)私事(または「私儀」を最下部に配置)
(第3行)このたび、一身上の都合により、
(第4行)令和〇〇年〇月〇日をもって、退職いたします。
(第5行・空行)
(第6行)令和〇〇年〇月〇日(※提出日を記載)
(第7行)〇〇部〇〇課 氏名 印
(第8行)〇〇株式会社 代表取締役社長 〇〇〇〇殿(※宛名は社名・役職・氏名すべて記載)
文面の書き出しには細心の注意を払いましょう。表題の「退職届」は1行目の中央やや上に配置します。本文の書き出しとなる「私事」または「私儀」は「個人の私的な事柄」を意味するため、謙譲の意を表して行の最下部に小さめに書くのが正式な作法です。退職日はあらかじめ上司と協議して確定した正式な日付を西暦または元号(「令和」)で統一して記載します。届出日には書類を上司に手渡す当日(郵送の場合は投函日)を記し、所属部署名、自分の氏名を署名した横に認印(シャチハタなどの浸透印は不可)を捺印します。会社の宛名には代表取締役社長のフルネームを記載し、敬称は「殿」または「様」を用います。自分の氏名より社長の氏名の位置が高くなるようバランスを調整してください。
退職届に使用する黒ボールペンと用紙サイズの基準
退職届の用紙サイズ(A4/B5)については、日本のビジネス文書の標準であるA4サイズ(210mm×297mm)、または従来の手紙形式で多用されてきたB5サイズ(182mm×257mm)のいずれかを使用します。社内の他の稟議書や提出書類がA4に統一されている職場であれば、管理・保管のしやすさからA4を選ぶのが無難です。
筆記用具として推奨されるのは、黒の万年筆、あるいは油性・水性ゲルインクの退職届に使用する黒ボールペン(ボール径0.5mm〜0.7mm)です。太すぎず細すぎない、かすれのない濃い黒文字で丁寧に書き上げます。温度変化で筆跡が消えるフリクションボールペンや鉛筆、サインペンの使用は公的書類として認められないため厳禁です。
パソコンで作成する場合は、文字フォントを明朝体(10.5〜12ポイント)に設定し、標準的な余白を確保した上でプリントアウトします。署名欄のみを手書きにして認印を押印する形式が実務上広く受け入れられています。Web上で提供されている「退職届のテンプレート無料ダウンロード」を活用する場合も、文末が「退職いたしたく〜」という願出調になっていないか、「退職いたします」という確定告知になっているかを必ず目視で確認してください。