首元を垂直に覆うデザインの源流を辿ると、東洋の伝統的なマオカラーや軍用オフィサーコートの機能美に行き着く。西洋のテーラリングが長年磨き上げてきたステンカラーコートが親しみやすい日常着の代表格であるならば、立ち襟はどこか高潔で知的な緊張感を纏わせる。かつて映画『マトリックス』が提示したようなフューチャリスティックでドラマチックな黒のロングシルエットは、今や日常のワードローブへと自然に融解した。
現在のアウターウェア市場において支配的な潮流となっているのが、無駄を徹底的に排除したミニマリズムだ。ラペルの返りがないフラットな構造は、肩のドロップ感や身頃のドレープを際立たせるキャンバスとなる。ウール、カシミヤ、あるいは高密度に織り上げられたテクニカルファブリックなど、素材本来の表情がダイレクトに視覚へと飛び込んでくる点も、この形状が持つ独自の魅力だ。