寺が位置する東山区の六波羅エリアは、日本史の大きな転換点となった舞台だ。かつては平清盛をはじめとする平家一門の邸宅が立ち並び、数千人の武士が行き交う権力の中枢であった。しかし、平家滅亡後は鎌倉幕府によって「六波羅探題」が置かれ、京の監視と西国の統括を行う最前線へと姿を変えた。
宝物館に安置されている「平清盛公坐像」を凝視してみる。経典を手にして座すその表情には、権力を極めた者の凄みと、同時にいつ失墜するかわからない世の無常を悟ったような静かな陰影が宿る。勝利者の栄華と敗者の悲哀。その双方がこの狭い敷地内に澱のように重なり合っており、足を運ぶ者に歴史のダイナミズムをダイレクトに伝えてくる。