SNSや一部のネットコミュニティにおいて、『ケセラセラ』は時に「キラキラした明るいポップス」「元気が出る陽キャ向けソング」と表面的に受け止められるケースが見受けられます。しかし、この解釈は楽曲の本質を見誤っていると言わざるを得ません。
歌詞を精読すると明らかなように、本作の根底には「限界まで擦り切れた精神のリアリティ」が横たわっています。「ツキが落ちて」「バイタリティが干からびて」といった直接的かつ生々しい言葉の数々は、大森元貴自身が抱えてきた葛藤やプレッシャーの告白でもあります。
2026年末の日本レコード大賞受賞理由について、当時の審査委員会や音楽評論家からは「時代の閉塞感を真正面から受け止め、ただの現実逃避ではない地に足のついた希望を提示した点」が高く評価されました。安易な精神論を排除し、絶望の淵にある人間の震える手を取るような誠実さがあったからこそ、単なる流行曲に終わらない普遍性を獲得したのです。