肘の内側の痛みに直面した際、ネット上の断片的な情報によって誤ったセルフケアを行い、かえって症状を悪化させる患者が少なくありません。特に混同されやすいのが「湿布の使い方」と「温めるか冷やすか」の判断基準です。
インターネット上の掲示板や知恵袋などでは「肘の内側の痛みにはとりあえず温湿布を貼って温めれば血流が良くなる」といった俗説が散見されます。しかし、これは明確な誤りです。
発症から数日以内で「ズキズキと脈打つように痛む」「患部が熱を持っている」「押すと飛び上がるほど痛い」という急性炎症期においては、冷やす(アイシング)が鉄則です。冷湿布やアイスパックを用いて15分程度局所を冷却し、毛細血管の拡張と炎症性サイトカインの放出を抑制しなければなりません。
一方で、発症から数週間が経過し、「朝起きると肘がこわばる」「重だるい鈍痛が続いている」という慢性期においては、血流を促進して組織修復を促すために「温める」ケアが適格となります。このフェーズで患部を冷やし続けると、血流が滞り腱の修復が大幅に遅延してしまいます。
もう一つの危険な誤解が「筋トレで肘周りの筋肉を鍛えれば痛みが消える」という思い込みです。微細損傷を起こしている腱組織に負荷を上乗せすれば、腱の断裂や骨棘形成を助長するだけです。トレーニングによる強化は、痛みが完全に消失し、柔軟性が回復した後の最終段階で行うべき再発予防策に過ぎません。