全国大会の常連選手や露天商組合の熟練者が異口同音に語るのは、金魚すくいの水への入れ方ひとつで勝負の8割が決まるという事実です。
水面にポイを入れる際、絶対にやってはならないのが「水平着水」です。正解は、水面に対して30度から45度の鋭角を保ち、ナイフで水面を切り裂くように滑り込ませる動作です。水との接触面積を最小化することで、着水時の衝撃波による紙の破断を完全に防ぐことができます。
そして一度水に入れた後の金魚すくいの構え方と手首の使い方にも、身体操作上の極意があります。
多くの人は手首のスナップを利かせて魚を跳ね上げようとしますが、手首を返すとポイが傾き、水中で最も抵抗の大きい「面押し」状態が生まれてしまいます。金魚すくいプロのテクニックでは、手首を完全にロックし、肘と肩甲骨の連動による「平行移動」でポイを操ります。水中を移動させるときは、常に水流と平行になるよう水平を保ち、抵抗を極限まで逃しながら魚の下へと滑り込ませるのが鉄則です。
さらに実践的なポイが破れない方法として、大会競技者たちが徹底しているのが「和紙の部分濡らし」あるいは「一発全濡らし」の選択です。競技ルールや現場の状況によりますが、初心者はポイの全面を不用意に水没させず、円の3分の1程度を常に空気中に残す「逃げ場」を作っておくことで、紙にかかる水圧の抜け道を確保できます。水中で激しく動かさず、水面下数センチの深さをキープしながら、金魚自身の遊泳ルートへポイを先回りさせて待ち受ける「置きポイ」の構えこそが、生存時間を最大化させる真髄です。