寺田心さんを語る上で欠かせないもう一人のキーパーソンが、同居して生活を支え続けてきた祖母の存在です。母親が仕事や送迎に奔走する間、家庭内での基本的な生活習慣や情緒の安定を支えたのが祖母でした。
寺田心さんといえば、共演者やスタッフ、取材記者に対して直角に近いお辞儀をし、大人顔負けの敬語を使いこなすことで知られています。幼少期にはその完璧すぎる振る舞いが「子どもらしくない」「作られたキャラではないか」と揶揄されることもありましたが、この礼儀作法を徹底して教え込んだのは祖母でした。
祖母が心さんに伝えた教えは、単なるビジネスマナーではなく、一人の人間としての倫理観に基づいています。
- 「人との出会いは一期一会であり、相手が誰であっても敬意を払って挨拶をすること」
- 「食事をいただくときは、作ってくれた人や命を差し出してくれた生き物に感謝すること」
- 「自分が恵まれた環境にいられるのは、周囲の支えがあるからだと忘れないこと」
公の場で語られたこれらのエピソードからは、祖母の躾が決して感情的な叱責ではなく、言葉の意味を丁寧に説くものであったことが窺えます。祖母の厳しくも温かい眼差しがあったからこそ、父親の不在という家庭環境が彼にとって影となることなく、豊かな人間性を育む土台となったのです。