かつて「世界一の朝食」と称されたシドニー発のスタイルを広めた故ビル・グレンジャー氏の功績は、今なお色あせない。彼の生み出したふわふわのスクランブルエッグやリコッタパンケーキは、朝食を「家で食べるもの」から「目的地へ出かけて楽しむもの」へと再定義した。
そして現在、そのバトンはフレンチ界の巨匠アラン・デュカス氏をはじめとするトップシェフたちへと受け継がれている。かつてはディナーの最高峰を競い合っていたガストロノミーの第一線級が、いまや朝のテーブルに情熱を注ぐ。ドキュメンタリー番組『シェフのテーブル』で描かれるような、一皿にかけた哲学と情熱が朝食の現場にも惜しみなく注ぎ込まれているのだ。その妥協なき姿勢はミシュランガイドの評価基準にも影響を与え始めており、朝食メニューの完成度が店全体の評価を左右する時代を迎えた。