「マンボ」というリズミカルでエキゾチックな名称は、現代の若年層から見るとどこかシュールに映るかもしれません。しかし、マンボ菓子の名前の由来を紐解くと、昭和30年代(1950年代半ば)の熱狂的な大衆文化史に行き当たります。
当時、ペレス・プラード楽団の来日などを契機に、日本全国でキューバ発祥のダンス音楽「マンボ」の爆発的ブームが巻き起こりました。街角にはマンボの軽快なリズムが鳴り響き、裾の細いズボンが「マンボズボン」と呼ばれて大流行するなど、社会全体がマンボという言葉に熱狂していた時代です。駄菓子メーカーの創業者が「この熱気と楽しさを子どもたちの菓子にも取り入れたい」「とにかく流行の最先端の名前を付ければ売れる」という直感的な商魂から名付けたのが、懐かしの駄菓子マンボの始まりでした。
駄菓子業界では、流行語や世相をそのまま商品名に採用する手法が日常茶飯事でした。戦後の復興期から高度経済成長期へと向かうエネルギーの中で生まれたマンボ菓子は、単なる駄菓子にとどまらず、昭和レトロカルチャーの生き証人として今日までその名を残しているのです。