前割りの真価は、温めたときにこそ最も劇的に体感できます。直割りのお湯割りでは「熱い湯」と「冷たい焼酎」の温度差によってアルコール蒸気が一気に立ち上り、鼻を突くツンとした刺激になりがちです。しかし、最初から一体化している前割り焼酎は、全体を均一に温めることができるため、香りの立ち方が驚くほど穏やかでエレガントになります。
温める際の絶対条件は、「温度を上げすぎないこと(45℃〜50℃のぬる燗)」です。60℃を超える熱燗にしてしまうと、せっかく結合した水とアルコールのクラスターが解体され、アルコール臭が再び暴れ出してしまいます。
最高峰の味わいを楽しむなら、鹿児島伝統の平たい陶器酒器「黒じょか(黒猪口)」の使用をおすすめします。前割り焼酎を黒じょかに注ぎ、弱火のとろ火や炭火でじっくりと加熱すると、遠赤外線効果と陶器の多孔質構造によって熱が柔らかく伝わり、角のない究極の芳醇さを引き出すことができます。
手軽に電子レンジで温める場合は、耐熱グラスや徳利に移し、「500Wで30秒〜40秒」を目安に少しずつ加熱してください。一気に加熱して沸騰(突沸)させないよう、途中で軽くかき混ぜて温度を均一にするのがコツです。