訪問看護の初回加算で最も誤解が生じやすく、返戻の引き金になりやすいのが、通称「過去2ヶ月ルール」と呼ばれる算定基準の解釈です。
「60日」ではなく「前月・前々月の暦月」で判定する
厚生労働省の通知にある「過去2ヶ月間」とは、起算日からの単純な60日間ではありません。制度上の定義は「利用があった月の前月および前々月の2ヶ月間(暦月基準)」を指します。
例えば、5月15日にサービスを再開する場合、対象となる過去2ヶ月は「3月1日〜4月30日」です。この3月・4月の期間中に一度も訪問看護を提供していなければ、5月15日の訪問で初回加算の算定が認められます。直前の利用が2月28日であれば、3月と4月の丸2ヶ月間が空洞化しているため算定可能です。しかし、3月1日に1度でも訪問実績があれば、5月の再開時には算定できません。
区分変更における「2区分以上の上昇」とは
利用者の心身機能の低下や急性増悪によって要介護度が改定された場合、特定の条件を満たせば初回加算の再算定が認められます。その基準が「要介護状態区分の2区分以上の変更」です。
具体的な適用パターンは以下の通りです。
- 算定可能なケース:「要介護1 → 要介護3」「要介護2 → 要介護4」「要支援1 → 要介護2」など、区分が2段階以上重度化し、計画を全面的に見直した場合。
- 算定不可なケース:「要介護1 → 要介護2」(1区分のみの変更)や、「要介護4 → 要介護3」(状態改善による軽度化)の場合。
状態改善による区分変更では、たとえ2区分以上の変化であっても初回加算の算定対象外となります。あくまで「重度化に伴う看護管理の再構築」を評価する趣旨であるためです。区分変更申請中の暫定プランで介入し、後から認定結果が確定した場合は、遡及して2区分以上の重度化が確認された時点で過誤調整または月遅れ請求を行う実務フローが求められます。